中野島ロボット

小さなロボットの自作記事を書いています。

週刊 idbox!のプチ改造 No.2 Repetier-Hostの設定

はじめに
dbox!を使いやすく調整しやすくするためには、Repetier-Hostのスクリプト設定を行うことで、調整しやすく、使いやすくなります。

必要レベル ★★★★★ 概算費用 100円~1800円

・造形テーブルに3Mのブルーテープ
造形テーブルに付属のフィルムではなく、3Mのブルーテープを貼ります。 これから改造や調整する場合に、ヘッドが造形テーブルにぶつかる場合もあり、フィルムが痛んでしまいます。 安い和紙タイプのマスキングテープ(100円)でも代用できますが、3Mのテープがやはり粘着力が強く、剥がした時にノリが残りにくいので3Dプリンターではベストだと思います。 解説 特にロボットの部品のようなネジ穴が切ってあるものを量産する場合は、位置によるちょっとしたプリントサイズの違いを嫌って、同じ位置で連続して造形するためそこだけが痛んできます。 (位置を変えると、微妙に(0.1mm程度)穴位置や形状、サイズが変わってしまうから。) 3Dプリンター用の造形フィルムは高価ですが、ブルーテープなら痛んだら新しいテープを貼れば良く、長さが58mもある(380回分です)ので、結果的に安く済むと思います。

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 ・高さ調整用スクリプトの設定とベッドの高さ調整
idbox!の機械的な調整箇所は、ヘッドの移動平面(X-Yガントリー平面)とベッド(造形用テーブル)を平行にするために行う、ベッドの高さ調整のみですが、これを毎回、指定された位置に何度も手動で動かすのは大変なので、Repetier-Hostのプリンタ操作画面のスクリプトに設定してしまいます。

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スクリプトの1から4に、調整ポイントのヘッド位置を記憶させて、順次呼び出しながらベッドの高さを調整して行きます。

Script 1

G1 Z1 G1 X10 Y10 Z1 G1 X10 Y10 Z0.5

Script 2

G1 Z1 G1 X150 Y120 Z1 G1 X150 Y120 Z0.5

Script 3

G1 Z1 G1 X150 Y10 Z1 G1 X150 Y10 Z0.5

Script 4

G1 Z1 G1 X10 Y120 Z1 G1 X10 Y120 Z0.5

ベッドの高さ調整は、X,Yは指定位置で、Z軸は0.5mm程度上に設定してあります。 ここから手動でZ軸をゼロに下げて行き、目視でヘッドとベッドが触れるか触れないか程度になるように、その軸のローレットを回して調整して行きます。

これを四隅に対して行い、徐々にヘッドの移動平面と、造形平面を横から見て平行に(高さを均等に)なるように数回かかけて調整して行きます。

 

解説
idbox!のX-Yガントリー方式のプリンタは、XY平面を強力に固定されており、ベッドはZ軸を下にしか動かさないため、ベッドを横方向に動かす方式の3Dプリンターのように、クリアランスを多めに取る必要はありません。 ただ、アクリルテーブルの場合は、ゆがみを考慮して、多少多めに(0.1mm程度)隙間を設けます。 (ガラステーブルに交換した場合は、基本的にゼロで調整します。)

Repetier-HostでCureエンジンを使う場合は、第一層目は原点から積層ピッチ分ベッドを下げた所からプリントを開始してくれるため、開始時の高さは基本的にゼロで構いません。 開始時の積層ピッチが0.2mmであれば、0.2mmの位置から印刷を開始してくれます。 ベッドが水平に動くタイプの3Dプリンターでは、水平面の精度が良くないため、コピー用紙1枚分とか名刺1枚分とかの隙間を開ける必要がありますが、idbox!の場合は基本はゼロで構いません。

 ・メンテナンス用スクリプト
メンテナンス用スクリプトは、各軸にグリスをなじませるために、四隅にヘッドを動かすスクリプトです。 Repetier-Hostのプリンター操作の5番に割り当てます。

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Script 5

G1 X10 Y10 Z0.5
G1 X150 Y120 Z0.5
G1 X150 Y10 Z0.5
G1 X10 Y120 Z0.5
G1 X10 Y10 Z0.5

 

解説
各軸にグリスを塗った後に、Repetier-Hostのプリンタ操作画面から、このスクリプトとホーム位置を 交互に数回押すと、各軸についたグリスを伸ばしてくれます。 これを数回行った後に、不要なグリスをふき取ってメンテナンスは終了です。

・開始スクリプトの設定
idbox!はヘッドの昇温中にどうしても、フィラメントがヘッドから垂れてきてしまいますが、これが造形物に落ちたり引っ付いたりすると造形に失敗する場合があります。 その為プリントの開始時に、スカートを印刷するのですが、スカートが印刷物に近いと造形物の近くに落ちることになるため、予めこのスクリプトで造形物からできるだけ遠い位置で落としておきます。 開始スクリプトは、Cure Engineのスクリプトタブで設定します。

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以下のスクリプトをコピーして、後ろに追加して下さい。

; Add for Cleaning
G1 Z0.35 F1000
G1 E8 F500
G92 E0
G1 X25 Y0.000 Z0.100 F1000
G1 X75 Y0.000 E3
G1 Z0.15 E0 F1000
; End

解説
出始めはフィラメントが焦げたり、少し変色してしまっている場合もあるので、それを落としてから、造形を開始する必要があります。 具体的には、ヘッドを下げて垂れたフィラメントをベッドに擦り付けて落とします。 ベッドの外までヘッドが動かせる形式の3Dプリンターであれば、スチールウール等を設置して、そこで垂れを落とせば良いのですが、idbox!はそれができないため、ベッドの上の使わない場所でそれを行います。 この設定例では、垂れたフィラメントが取りやすい一番手前に設定しています。 これで、垂れたフィラメントによる、開始直後の失敗がぐっと少なくなると思います。 おわりに 今回はRepetier-Hostのスクリプト設定と、それを使ったidbox!の調整方法のプチ改造でした。

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